前立腺肥大症の
「日帰り水蒸気治療」wave
切らない・全身麻酔なし・当日帰宅できる、
前立腺肥大症治療の新しい選択肢
「夜中に何度もトイレで起きる」「おしっこの勢いが弱くなってきた」「残尿感でスッキリしない」—そんな症状が続いていませんか?これらは、前立腺肥大症のサインかもしれません。放置していると症状が進みやすく、生活の質にじわじわと影響してきます。
当院では、埼玉県西部地区ではじめて「経尿道的前立腺水蒸気治療(WAVE)」を導入しました。
お腹を切らず、局所麻酔で日帰りできる治療です。「手術」と聞くと構えてしまうかもしれませんが、終わってみると「思ったより痛くなかった」とおっしゃる患者さんもいらっしゃいます。


Rezumのデリバリーデバイスととジェネレーター

デリバリーデバイスの先から
103℃の水蒸気が噴霧されます。
© 2026 Boston Scientific Corporation. All rights reserved.
WAVEってどんな治療?
WAVE治療の特徴
水蒸気の対流を
利用して効率的に
平均治療時間は
10分未満
自然吸収による
組織の退縮
水蒸気(103℃)を前立腺の内部に短時間噴射することで、肥大した組織を縮小させる治療法です。尿道から器具を挿入するため、お腹を切る必要はありません。
2022年に日本で保険適用となった比較的新しい治療で、「Rezum(レジューム)システム」という医療機器を使います。
従来の手術(電気メスやレーザを用いた切除術・核出術など)と比べ手術時間が短いため、体への負担をかなり抑えられるのが特徴です。
WAVE治療の手順

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- 局所麻酔後にデリバリーデバイスを尿道内に挿入します。
- 前立腺に針を穿刺し、内部に103℃の水蒸気を9秒間入れます。
- 加熱された前立腺組織は壊死し、時間と共に退縮していきます。
局所麻酔で日帰りできます
一般的に前立腺の手術は入院が必要で、全身麻酔や腰椎麻酔を使いますが、当院では来院から帰宅まで、だいたい1時間ほどで終わります。
- 局所麻酔で実施
- 手術時間は5~15分ほど
- 終わったら当日帰宅できる
- 自分で運転して来院しても大丈夫
流れとしては、来院→局所麻酔・点滴(抗生剤・止血剤)→治療(5~15分)→安静→帰宅。
全身麻酔や鎮静を使わないので、回復もスムーズです。
大掛かりな「手術」というより「検査の延長」に近い感覚だと話す医師もいます。
痛みについて
正直に言うと「まったく痛くない」わけではありません。水蒸気を9秒間噴射するときに、圧力で少し痛みを感じることがあります。
ただ、実際に処置を受けられた患者さんからは「耐えられないほどではなかった」という声がほとんどです。
この治療の3つのメリット
国内外の臨床データに基づいて、次のような効果が確認されています。
排尿症状がしっかり改善する
米国の5年間の追跡データでは、治療後1か月ごろから症状の改善がみられ、国際前立腺症状スコア(IPSS)が48%改善、最大尿流量(Qmax)が44%改善。この効果は5年にわたって維持されたと報告されています。

61名の治療群(Treatment arm)、3ヶ月後に治療を受けた53名の群(Crossover)ともに
問診上(IPSS、QOL)、他覚検査上(尿流量検査のQmax)ともに改善を認め、その後効果は5年維持していた。
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性機能が守られる

個人的には、一番のメリットだと思っています。
前立腺肥大の治療薬では、「逆行性射精」(絶頂を迎えても精液が外に出ず、膀胱の中に入ってしまう状態)が起こることがあります。また従来の前立腺肥大症の手術だと射精自体ができなくなります。
WAVEは前立腺肥大症の手術の中で、現状唯一といっていい射精能力が温存される治療法です。逆行性射精の発生率も約1%以下と報告されています。「まだ性機能を残しておきたい」と思っている方にとっても、ためらわずに選べる治療です。
安全性が高く、
再手術になりにくい
術後5年で薬物療法の再開は11.1%、再手術は4.4%であった。
同じく米国の5年データでは、薬物療法への移行は11.1%、再手術率はわずか4.4%でした。また、水蒸気は前立腺の組織内にとどまる性質があるため、周囲の臓器(直腸など)を傷つけるリスクも非常に低くなっています。
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こんな方におすすめです
- 前立腺肥大症のお薬を飲んでいるが、なかなか症状が改善しない
- 長く薬を飲み続けることに不安がある
- 全身麻酔での手術が不安(高齢の方、持病がある方も受けやすい)
- 治療後も性機能を維持したい
- 尿道カテーテル(バルーン)を使用中で、外れるかどうか試してみたい
尿道カテーテルを留置中の方は、膀胱の機能的な問題でカテーテルが必要になっているケースもありますが、WAVE治療でカテーテルが外れた方もいます。「ダメ元でやってみよう」と思っていただけるようでしたら、チャレンジしてみる価値はあると思います。
2026年6月からの保険適用拡大について
従来は保険適用に条件がありましたが、2026年6月の診療報酬改定により、前立腺肥大症があれば年齢に関わらず保険が使えるようになりました。以前「自分は対象外かも」と思っていた方も、ぜひ一度ご相談ください。
治療の流れ
STEP01まず外来で検査・診察
前立腺の大きさや状態を調べるため、経腹超音波検査・尿流量検査などを行います。
また、前立腺の内部をしっかり確認するために、内視鏡(膀胱鏡)検査を実施することもあります。
PSA値が高い場合は、前立腺がんの可能性を否定するためにMRI検査を追加することもあります。
STEP02手術日の決定
検査で問題がなければ、手術日を決めます。目安としては初診から1か月前後が多いです。
STEP03治療当日
指定の時間に来院いただき、局所麻酔・点滴処置を行ったうえで治療を実施します。
治療後は尿道カテーテルを一時的に留置します(だいたい1週間程度です)。
来院から帰宅まで約1時間が目安です。また術後も自分で運転して帰っていただけます。
STEP04術後の通院
術後1週間で尿道カテーテルを外します。その後は1か月・3か月・6か月後に、尿流量検査や超音波などで経過を確認します。3か月後に内視鏡検査を実施することもあります(前立腺が縮小しているか・新たな問題がないかを確認するためです)。
効果が現れるタイミングには個人差があります。1か月で大きく変わる方もいれば、2~3か月かけて徐々に改善していく方もいます。最初はいまいちだと感じていたのに、2~3か月後に急に調子がよくなったという方も実際にいらっしゃいます。
よくあるご質問
Q 手術中は痛いですか?
完全に痛みがないわけではありませんが、局所麻酔を行い、水蒸気を噴射する9秒間に多少の圧迫感や痛みを感じる程度です。「耐えられないほどではなかった」という声がほとんどです。
Q カテーテルを1週間入れたままなのですか?
はい、治療後は約1週間、尿道カテーテルの留置が必要です。1週間後の外来受診で取り外します。事前にご了承のうえで治療を受けていただいています。ただし、あらかじめ尿道カテーテル留置中の方やおしっこの出なくなる尿閉の既往のある方は術後4週間の留置が必要になります。
Q 車で来ても大丈夫ですか?
局所麻酔のため、全身麻酔と違い意識に影響がありません。ご自身で運転して来院・帰宅していただいて問題ありません。
Q 効果はいつごろ出てきますか?
個人差がありますが、1か月前後から変化を感じる方が多いです。一方で、2〜3か月後に急に良くなったというケースも少なくありません。焦らず経過を見ていきましょう。
費用について
この治療は健康保険が適用されます。また、高額療養費制度も利用可能なため、実際の窓口負担には上限が設けられます。
| 負担割合 | 当日の窓口支払い目安 |
|---|---|
| 1割負担 | 約50,000円 |
| 2割負担 | 約100,000円 |
| 3割負担 | 約150,000円 |
高額療養費制度
1か月の自己負担が一定の上限額を超えた場合、超えた分が後から払い戻される制度です。
事前に「限度額適用認定証」を取得するか、マイナ保険証によるオンライン資格確認を利用すると、窓口での支払いを上限額内に抑えることができます。
自己負担の上限額は年齢・所得によって異なります。
治療をお断りする場合もあります
以下のような場合は、この治療が適さないことがあります。
- 抗血小板薬・抗凝固薬(いわゆる「血液さらさら」の薬)を服用中で、一定期間の休薬が難しい方
- 重度の認知症があり、術後のカテーテル管理が難しい方
- 膀胱機能の低下など、前立腺以外の問題が主な原因と考えられる方
「自分はどうかな?」と思われる方は、まずご相談ください。当院での治療が難しいと判断した場合は、入院設備のある病院や他の術式(従来の内視鏡手術など)を行っている専門医をご紹介します。患者さんの状況に合った最善の選択肢をご提案することが、私たちの役割だと考えています。
相談・受診のご案内
「もう少し詳しく話を聞いてみたい」「自分の症状に向いているか知りたい」という段階で構いません。まずは外来を受診していただき、検査と診察を行ったうえで、この治療が適しているかどうかをご説明します。
「薬を飲み続けることに限界を感じている」「手術はこわいけど、このまま我慢し続けるのも辛い」——そんな方に、別の選択肢があることを知っていただきたいと思っています。
排尿の悩みは、誰にでも話しにくいもの。でも、相談してみると、思ったより気が楽になるかもしれません。どうぞお気軽にお越しください。

ー 院長より
この治療を始めたきっかけのひとつは、この治療が優れているにも関わらず「入院を含め近隣でこの手術をやっているところがない」という現実でした。紹介したいけど、紹介できる場所がない。ならば自分たちでやろう、と考えました。
日帰りWAVE治療は、内服の効果が実感できないのにも関わらず年齢から手術を諦めている方や射精機能廃絶を気にしてこれまで手術をためらっていた方に「選べる治療ができた」という安心感を届けられる治療だと思います。まずはお気軽にご相談ください。
仮に当院でのWAVE治療に適さないケースであっても、一緒にベストな治療を考え、必要あれば信頼できる専門病院・医療機関にお繋ぎします。大事なのは、その方にとって一番いい選択を一緒に考えることです。

